近年増加傾向となっている「木造三階建て住宅」

 

日本の家屋は、徐々に高層化傾向をたどっています。古くは、住宅といえば「平屋建て住宅」が主流となっていましたが、徐々に平屋建て住宅が作られることはなくなり、変わって主流となったのが「二階建て住宅」です。現在も住宅(特に建売住宅)の主流となっているのは、二階建て住宅です。

ただ、近年割合を伸ばしているのが「三階建ての木造住宅」なんですね。建築基準法が改正され、三階建ての木造住宅の建設が可能となるとともに、徐々にその割合が増加傾向となっています。

当初は、設計基準や確認申請手続きなどに不備があったといいますか・・三階建て木造住宅に対応しきれない状況が存在していたのですが、それも現在は解消。そんな環境整備とともに、特に建売住宅として木造三階建て住宅が多く建設されるようになってきました。

 

「木造三階建て住宅」の増加は、売り手側のメリット追求による結果?

都心部などでは、なかなかまとまった土地を確保することは難しい状況です。それゆえに、狭い土地に対しても、部屋数を確保することができる「木造三階建て住宅」は、購入者側にとっても、メリットを感じる要素はあるかと思います。

ただ、現状木造三階建て住宅が増加しているのは、顧客(買い手)への配慮というよりも、「売り手側の論理(メリット追求)のために促進されている側面が大きいのが実情です。

本来であれば、二階建て住宅を2件建てるのに程よい土地があったときに、敷地を多少無理してでも三分割してしまうんですよね。

そして、三分割された狭い土地に対して、三階建て木造住宅を3件建設して販売するのです。そうすると、同じ敷地広さに対して、「2棟」の住宅を販売するのと「3棟」の住宅を販売すりのとでは、売上高が大きく異なることになるのです。

そう・・売上高を伸ばすため(利益追求)に、木造三階建て住宅が増加傾向となっていると考えることが出来るんです。

三階建てしか建たない狭い土地に対してなら、木造三階建て住宅を建設するのもわかりますが、二階建て住宅が十分建てられる土地に対して無理やり、三階建て住宅とするのは、個人的には、好ましくないことと感じています。

 

「木造三階建て住宅」には、構造的なリスクが内在。

私としては、正直「木造三階建ての建売住宅」に対する評価は低く、基本的には、一生に一度の買い物としては、おすすめできない住宅(購入する上で)と思っています。(資金的に余裕がある人の場合は、別です。)

その要因としてはいくつかあるのですが、最大の理由となるのが「木造三階建て住宅には構造的なリスクが内在している」からなんですね。

もちろん、木造三階建て住宅は、きちんと構造計算をした上で建設されている建物ですので、構造耐力としては十分なものを有していると考えられます。

でも・・それはあくまで机上の話なんですね。二階建て木造住宅に対して、三階建て木造住宅を作る上で、「必要十分な強度・耐力」を確保するためには、様々な条件が存在しているのです。

構造壁の数・配置バランスだけでなく、構造壁とするための各種条件にもいろいろな要素があるんですね。「クギの本数やクギ打ち間隔(ピッチ)」なども細かく規定されています。

しかし、実際には、それらの要素が満たされないまま施工されてしまっている住宅も少なくありません。(手抜き工事、施工ミス)

住宅の強さというのは、「建材の耐久性」によって大きく左右されるのですが、実際にはそれ以上に「建物形状」「バランスの整った建物であること」のほうが、重要な要素となるものです。

簡単に言うと、「高い耐久性のある素材を使用した、複雑な形状の住宅」と「建材としては並の耐久性ながら正形でバランスの良いフォルムの住宅」とを比較したなら、後者のほうが現実的(机上の計算ではなく)には、地震などに対する強さを有し、末永く活用できる住宅となるものなのです。

「木造二階建て住宅」と比べて「木造三階建て住宅」は、バランスが崩れたものが多い傾向があります。木造三階建て住宅には、『構造的なリスクがある』ことをきちんと認識しておくことが大切です。

 

自然界の驚異は「地震」だけではありません。

少し具体的な木造三階建て住宅の構造リスクに関してお話してみたいと思います。

木造住宅の品質基準を示す要素のひとつに「住宅性能表示」「長期優良住宅制度」という指標があります。その中で、住宅の耐久性を示す要素として、「耐震等級(1~3)」が定められています。耐震等級1というのは、建築基準法で定められた基準と同等であることを示すもの。

耐震等級2の場合には、建築基準法の基準の「1.25倍」の建物強さを有していることを示し、耐震等級3の場合は、建築基準法の基準の「1.5倍」の建物強さを持っていることとなります。この基準だけを見れば、「耐震等級2」の住宅なら、とても強い耐久性を持っているということが出来ますよね。

しかし、下記動画を見ていただきたいのですが、こちらは長期優良住宅「耐震等級は2以上、3以下」の木造三階建て住宅に対して、地震動実験をした結果です。震度6強の地震を想定したもので、特別強い揺れを与えたものではないのです。

いろいろ条件設定はありますが、状況によっては、損傷だけでなく、長期優良住宅となっているものであっても木造三階建て住宅の場合には、「倒壊してしまう」ケースがあることを示しているのです。これは、木造三階建てのバランスが悪い(横幅に対して、高さがある形)が大きな要因となっているものと考えられます。

他にも「耐震等級」という要素は「地震」に対してのみ設定されている要素であり、この場合「風に対する強さ」が考慮されていないんですね。二階建てと比べて三階建ての方が「風圧力」を受けやすく、風に対する耐久性が必要となるのですが、実際の建売住宅においては、この風圧力に対する計画がきちんとなされていないものも少なくないのです。

「木造三階建て建売住宅」を購入する時の注意点!「内覧会時」にチェックしておきたいポイント。

「木造三階建て建売住宅」を購入するのであれば、少しでもリスクは軽減しておきたいものですよね。

まず、最も重視しておいていただきたいのが『土地環境(地盤)』です。

●軟弱地盤
●「揺れ(振動)」が伝わりやすい土地

であるかどうかの見極めが最重要なポイントとなります。

正直、なかなか一般の方が「土地特性」を見極めるのは難しいものではありますが、下記要素の有無だけでも、チェックしてみていただければと思います。

*住宅の周辺道路状況。「道路に多くのひびがある」「傾いている電柱がある」など。

*住宅周辺の「塀などに亀裂が見つかる」。

*購入予定の住宅の「基礎」にひび割れがある。(新築なのにも関わらず)

*当該土地は、もともと「田んぼ」だった。

上記のような要素があるようなら、その建売住宅(木造三階建て)は、購入断念するべきと考えます。

「内覧会時」の注意ポイント(チェックポイント)。

木造三階建て住宅の場合、特に重要な要素なるのが、『住宅の歪の有無』です。新築時点で、住宅に歪(床の傾斜、壁・柱のの倒れなど)があるようだと、後々、大き目な地震などが発生した時に、住宅の損傷が生じやすいものとなるからです。

「住宅の歪状況」を確認するためには、『レーザー水準器』などを使用したチェックが必要となりますので、個人では対応が難しい要素となるかと。

私のような住宅診断士(建築士)に調査・チェックを依頼、「歪の有無」を確認していただければと思います。

  1. 建売住宅(戸建て)の内覧会同行調査(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の詳細はこちら。

神奈川県・東京都を中心とした戸建内覧会同行検査!