新築住宅の床フローリングのお手入れ!フロアーコーティングは不要です。

リビング,新生活

騙されてはいけません。新築住宅の床フローリングにフロアーコーティング(ハードコーティング)は不要です!

新築マンション・新築戸建住宅を購入したとき、最初に気になる要素となるのが「床フローリングのお手入れ」ではないでしょうか。

建築士としての仕事を通じて経験的に感じるのは、ほとんどの人がまず「床フローリングのメンテナンス(汚れやキズがなるべくつかないようにしたい)」「水回り(キッチン、浴室)の汚れ防止」に関して、高い意識を持つということです。

せっかく、新しい住宅を手に入れたわけですからね。少しでも長く綺麗な状態を維持していきたいと考えるのは当然のこと。住宅空間のお手入れを気にかけることは、とても大切な要素と言えるものです。

しかし、世の中・・そんな心理を見透かしてか、本当は不要な要素(費用対効果の低い要素)であっても、「日常のお手入れが不要になります」という誘い文句で様々な商品を販売しようとする業者が多々存在するもの。

そんなひとつの要素と言えるのが、「床フローリングのハードコーティング(ガラスコーティングも含む)」という要素です。

最初に結論を記しておきます。新築住宅の床フローリングにハードコーティングは不要です。それどころか、デメリットも多々存在していますので、ハードコーティングは施さないようにしましょう。

まずは近年使用されている床フローリングの種類を知っておきましょう。

フローリングの種類

近年、住宅(マンション、戸建て住宅)の床に使用されているフローリング種類としては、素材・構造的に分類すると「シートフローリング」「複合フローリング」「無垢材フローリング」の3種類となります。

昔は戸建住宅では、本当の意味でフローリングと呼べる、「無垢材フローリング」が活用されていたものですが、近年の新築マンションや建売戸建住宅ではほとんど使われなくなりました。

現状としては「シートフローリング」or「複合フローリング」のいずれがが床仕上げとして活用されている状況です。

1)シートフローリングとは?!

現在、床フローリングに使用されている割合が年々高まっているのが「シートフローリング」と呼ばれる素材です。これは、フローリングと呼ばれていますが、木材ではありません。

ベースに「合板(ベニア板)」もしくは「MDF(紙を圧縮したような素材)」を使用、表面は紙(オレフィンシートなど)に木目を印刷したものを張り付けてある商品です。

開発当初は、木目の印刷技術も低く、いかにもプリントであることがわかりましたが、近年では技術が進歩。一般人では、木目プリントであることが一見してわからない(判別できない)ほどの出来栄えとなっています。

表面が木目柄の紙(オレフィンシート)だけでは、強度が低いものとなりますので、特殊な「EB処理」を施すことで、表面を硬化させ強度・耐久性を高めた素材となっています。

近年の新築マンションでは、8割程度がこのシートフローリングを使用しているような状況となっています。日々のお手入れとしてワックスを施す必要のない「ノンワックス」商品として販売されています。

2)複合フローリングとは?!

昔から、無垢材フローリングと合わせて使用されてきたのが「複合フローリング」です。ベースに合板(ベニア板など)を使用。表面には薄くスライスした木材(木目の美しい木材、突板と呼ばれているもの)を張り付けた素材です。

基本的には、無垢材フローリングと同じ感覚で使用するもの。以前は無垢材フローリングと同様に商品としては、その状態のまま出荷。工事工程の終盤に、ワックスを施した形で住宅の引き渡しを行うものが多数を占めていました。

ただ、近年では複合フローリングに対して、最初から工場で「UV塗装など」表面保護・強化された商品として販売されているものが多くなっています。

UV塗装などの処理済複合フローリングの場合は、「ノンワックス(日常のお手入れとしてワックスが不要の商品)商品」として販売されています。

シートフローリングも複合フローリングも「ノンワックス製品」。追加の処理(ハードコーティングなど)は必要ないのです。

近年販売されている「シートフローリング」「複合フローリング」はノンワックス商品です。日々のお手入れとしてワックスを施す必要が無いフローリングなんですね。

ですから、基本的には、床に水などをこぼしたときには、すぐにふき取る、汚れが付着したときには、すぐ排除するといった当たり前のことを心がけておけば良いのです。

シートフローリングも複合フローリング(ノンワックスタイプ)も先に記したように、すでに必要な保護対策(EB処理)が施されている商品。その上にさらなる追加の処理(ハードコーティングなど)は必要ないのは、明白なことなのです。

ハードコーティングを行うことのデメリット。

デメリットの前に、一般的にメリットとなる可能性がある要素に触れておきたいと思います。それが「フローリング表面の固さの確保」です。簡単に言うと、「キズが付きにくくなる」というのは本当です。

シートフローリングも複合フローリングも、「汚れが付着しにくくする」「水が浸透しないようにする」ことを目的として保護層を有していますが、キズを防ぐものではありません。

大きな物を落としたり、フローリング表面を何かでたたいたりすれば、キズは付きます。

「ハードコーティング」と言うのは、フローリングの表面にとても強度の高い固い層(コーティング層)を作るもの。打撃に対する強度は確かに高まるのですが・・・それがまたデメリットに繋がってしまうのです。

a)ハードコーティング(固さ)がフローリングの機能をダメにしてしまいます。

まず、そもそも論を考えてみてください。ハードコーティングを施したフローリングが最も機能的で居住空間に適しているのであれば・・フローリングのメーカーがハードコーティングを施した商品を開発・提供していると思いませんか?

日本の建材メーカーは世界的に見ても技術的にとても優秀です。機能性だけでなく、日本の風土に適した順応性や生活様式に対する対応力など、とても細部にわたった検証・研究の中から商品を創出しています。

そんな建材メーカー(フローリングメーカー)がハードコーティング(同じ化学素材などを含む)を施した商品を提供していないということは・・そもそも、住宅床フローリング(シートフローリング、複合フローリング)にハードコーティングが適していないということの証でもあるんですよね。

最大の問題点となるのが、本来フローリングに求められている機能がハードコーティングをすることによって損なわれてしまう(機能消滅)ことです。そんな要素が複数あるのですが、中でも大切な機能性となるのが『遮音性能』と『しなやかさ(柔軟性、クッション性)』です。

ハードコーティングによって作られる表面の「固さ」がフローリング全体のしなやかさを失わせます。そのことは同時に、本来フローリングの機能としてとても大切な「遮音性能」を失わせることとなってしまうんですね。

下層階へ生活音が伝達されやすくなるだけでなく、フローリング材の軋み音(音鳴り)も年々増していくことも。

また、クッション性が失われるということは、転倒したときなど、通常状態のフローリングなら衝撃を吸収、やわらげる機能があるのに対して、ハードコーティングを施したフローリングでは衝撃吸収力が失われてしまうことに。ケガに繋がりやすいということです。

b)見栄えの悪い、艶が増すことに。

インテリアとしての見栄えにも大きな悪影響が。ハードコーティングを施すと、床一面が常に水で濡れているかのような強すぎる艶が生じることになります。

木材フローリングの艶は、美しさに繋がる要素ではありますが・・それはあくまで上品な範囲での艶のこと。水で濡れたような強い艶感は、正直インテリアの見栄えとして最悪な要素となります。

c)ハードコーディングを施すとフローリングの修繕が出来ないものも。

基本的に、「フローリングのコーティング業者」の多くは、『フローリングを保護すること』『フローリングにキズが付かないこと』だけを取り上げて、コーティングの必要性を語るケースが多いものです。

でも、住宅というものは、そんな一元的な要素(視点)で考えてはいけないものなんですよね。

住宅は多種多様な要素によって構成されています。ゆえに、何かの出来事(不具合など)があったことで、床フローリングを部分的に剥がす必要が出てくるという状況も十分あるもの。

基本的にハードコーティングなどを施した床では、そんな床の部分修繕が不可能となってしまうことがあるのです。すべての床を剥がす必要が出てくることも。

 シートフローリングは使い捨ての建材と認識しましょう。シートフローリングの張替(リフォーム)は案外安価でできるものです。

ハードコーテイングのデメリットはあげれば、まだまだ沢山ありますが、そんなことを多く語るよりも重要な要素としてお伝えしておきたいことがあります。それが、「床フローリング材へのそもそもの認識」という要素。

ハードコーティングの導入といった話が出てきてしまうのは、「床フローリングをキズ付けない」ことを前提として考えているからですよね。そもそも、そこの認識が間違っておりまして・・(笑)。

無垢材フローリングとは大きく異なり、シートフローリングという素材は、「使い捨ての建材」として誕生した素材と言えるものなのです。

紙素材(MDF、オレフィンシート)をベースとした、とても安価な建材として作られているもの。

基本的に、キズや汚れが増していくことを恐れることなく、使用してもらい、将来的に損傷がひどく感じられるようになったときには、「シートフローリングの張替」をしてもらう・・そんな利用方法が最も好ましい建材なのです。

「フローリングの張替=リフォーム」と考えると、なんとなくとても費用がかかってしまう要素と思ってしまう人のほうが多いのではないかと思いますが、実際はそんなことはないんですよ。

ハードコーティングを施すために「数十万円単位」の費用が掛かるのですが、そちらのほうが高価なくらい。

まあ、確かにリフォーム業者といってもピンキリですからね。技術的・顧客対応力もしっかりとしているリフォーム業者を選ぶことが、結果として価格的にも安価となる(激安を謳うのではなく、あくまで内容に対する価値観が妥当という意味)ものです。

近年では、床フローリングや壁クロスの張替のみでも専門的に対応しているリフォーム業者も登場しています。

そのような業者に依頼すれば、6畳間居室の床フローリングの張替(既存フローリングの上から、新しいフローリングを張る方法が最も安くリフォームできます。)なら、7万円~10万円程度で可能なものです。

※手軽&安全にリフォーム費用を知りたい方はこちらの見積もりサービスをご利用してみてはいかがでしょうか。

将来的に、こういうリフォーム業者を活用することを念頭に、日々の生活空間のお手入れ及び活用をしていくことのほうが、最善の生活が楽しめるのではないでしょうかね。

10年後に床フローリングをお手頃価格で張替てしまったほうが、またそこから新築のような空間で生活をリスタートしていけるわけですから。新築当時に無駄な施し(ハードコーティングなど)は不要ということです。

併せて読みたい”フローリング関連”情報

  1. ※要注意※フローリングの汚れ・黒ずみに重曹・炭酸は使わないで!
  2. ※デメリット※フローリング・コーディングの必要性は!?

「寝室フローリング」のお手入れを考えると「ベッド不使用」がおすすめに。

置き畳&敷布団

現代の住宅の多くが、「寝室」もフローリング仕様となっていますよね。

フローリングの特性を加味した時、「日々のお手入れ」「フローリングを良好な状態で保つ」という2つの側面から、「ベッド不使用」が好ましいものと考えています。

それは何故かというと

  • ベッド(脚部、側板)にて、フローリングが局所的に痛むから
  • ベッド下の清掃・お手入れが出来ず(しにくい)、フローリングの状態に格差が生じてしまうから

です。

数多くの住宅を見て来ていますが・・「ベッド利用」しているお宅では、寝室のフローリングが傷んでいるレースが少なくありませんからね。

そういう意味でおすすめなのは

*「置き畳」&「敷布団」の活用

もしくは

*フローリング直敷き対応の機能性マットレスの活用

です。

例えば、下記のような機能性マットレスです。
↓↓↓

  1. モットン マットレス情報「口コミ」|悪い評判・良い評判を評価

これだと、マットレスをちょっと壁に立て掛けて置くことが出来ますので、日々のお手入れ(床の掃除)がバッチリできますからね。しかも、フローリングの損傷が生じません。

「部屋の模様替え」も簡単に出来ますし、寝室の臨機応変な使い方が可能となります。

【機能性重視】フローリングとマットレスとの相性とは!?

2015年4月9日リビング,新生活

Posted by baum